風邪や花粉症などで鼻詰まりが続くと、鼻うがいは一つの対策として考えられます。しかし、鼻うがいを行う際には注意が必要です。実は、鼻うがいを誤った方法で行ったり、過剰に行うと逆効果になる可能性があるのです。鼻の粘膜を傷つけてしまい、蓄膿症が悪化することもあります。
今回は、鼻うがいについての正しい方法や気を付けるべきポイントについてご紹介します。特に蓄膿症や副鼻腔炎などの持病がある方は、鼻うがいを行う前には医師に相談することをお勧めします。それでは、詳しく見ていきましょう。
【注意】 本記事はあくまで参考情報であり、医師の指示に従って鼻うがいを行ってください。また、持病がある方は自己判断での鼻うがいは避け、必ず医師に相談してください。
風邪に鼻うがいは有効か?
鼻うがいは風邪やインフルエンザの予防にも効果的だと言われています。ウイルスは鼻や口を介して侵入し、体内に入ってから症状が現れるため、鼻うがいを行うことでウイルスの侵入を防ぎ、感染を予防することができるとされています。
鼻うがいを行うことで、上咽頭に付着したウイルスやアレルゲンを洗い流し、症状を軽減することができると言われています。
医師によっては風邪のウイルスや細菌の感染経路がのどの粘膜よりも鼻の奥の粘膜(上咽頭)で感染が起きていると考えている方もいらっしゃいます。
事実、上咽頭では多数の免疫細胞が集まっており、侵入してきた異物やウイルス、細菌と戦っていることはわかっています。
また慢性上咽頭炎という慢性的に鼻の奥の粘膜が炎症を起こしているために体全身に悪影響を及ばしているのではないか?と研究が進められています。
これらの異物を上咽頭・鼻の中から洗い流すことで感染を防ぐ効果は十分に期待できます。
風邪に鼻うがいが逆効果になるか?
風邪の時ほど鼻うがいで鼻の粘膜をきれいに洗い流しておきたいと考えますが、逆効果になることも考えられます。
いくつかのケースがありますのでそれぞれ考えていきたいと思います。
1.蓄膿症など持病がある場合
まずは蓄膿症や副鼻腔炎などの慢性的な持病がある場合です。
鼻うがいの方法によっては逆効果になりますので、持病がある方は主治医に相談の上で鼻うがいをするかどうか決めてください。
すでに鼻の奥に炎症があり、蓄膿症や副鼻腔炎では膿が発生しているわけです。
膿というのは細菌や炎症で壊れた細胞などをマクロファージなどの免疫細胞が処理したゴミですね。
雑菌がいるともいわれます。
これらが鼻の奥にある状態で、鼻うがいで溶液を勢いよく入れてしまうと・・・
より奥の方や鼻涙管(耳と鼻をつなぐ管)や副鼻腔などにこれらのごみ・膿を押し込んでしまうことになります。
そうしますと、その押し込まれた場所で膿の雑菌などが悪さをしてその場所に炎症を起こしてしまう可能性があります。
これが鼻涙管などに入り込んで出せなくなると中耳炎などのリスクになってしまいます。
2.間違った鼻うがいをやってしまう
もう一つは鼻うがいの方法を間違っている場合です。
まずは0.9%濃度の生理食塩水にすることです。
水道水そのままとかミネラルウォーターそのまんま使用することは絶対にやめてください。
浸透圧の関係で鼻の粘膜が過剰に刺激されていためます。
プールで鼻に水が入るとツーーンと痛くなりますよね?
あれは食塩の濃度が低すぎて粘膜を刺激している痛みです。
粘膜が傷つきますと、最悪そこから雑菌が入ったりして炎症を起こしたりします。
また、鼻うがいが良いからと言って、1日に何度も行うこともダメです。
手や顔も洗いすぎるとガサガサになりますよね?
もっとデリケートな粘膜部分ですから洗いすぎると粘膜に悪影響を及ぼすことは想像しやすいと思います。
鼻うがいは多くとも朝・昼・晩の3回までとおっしゃる方が多いですね。
3.鼻が詰まっているときは無理やりやらない
鼻が詰まっているから鼻うがいですっきりしたい!
という気持ちは痛いほど分かります。
ですが鼻詰まりの時こそ慎重にしてください。
1で書いたものと同じですが、鼻詰まりの時は鼻水やごみなどが詰まっている場合と鼻の奥の粘膜が浮腫んで膨れているために通り道をふさいでいる場合があります。
ごみなどで詰まっている時に無理やり鼻うがい水溶液を注入してしまうと、より奥にごみが運ばれてしまい1で書いたような悪影響を及ぼすことがあります。
鼻の奥の粘膜が浮腫んでいる場合でも水溶液の通りが悪いです。
その時に無理やりに勢いよく通してもそれこそ副鼻腔や鼻涙管などの脇道に流れ込んでしまい辛い思いをすることになります。
ですので鼻詰まりが酷い時は、個人の判断で鼻うがいをせずに、耳鼻咽喉科の医師に相談することが先決ですよ。
正しい鼻うがいの為に
正しい鼻うがいの方法を守れば、健康な人には問題はないです。
蓄膿症や副鼻腔炎、中耳炎などの病気の治療中の方は主治医に相談してから行ってください。
鼻うがいで守ってほしいことは次の通りです。
- 生理食塩水を使う
- 鼻うがい時の姿勢を守る
- 無理をしない
です。
生理食塩水の作り方
せっかくなので厳密な生理食塩水の作り方をご紹介します。
生理食塩水では、塩分濃度も大切ですが、厳密には雑菌などのばい菌がいないことも重要です。
鼻うがいでそこまで気にしなくても大丈夫な人も多いですが、安全な生理食塩水の作り方も知っていると良いと思います。
生理食塩水は0.9%濃度の食塩水です。
生理食塩水500mlの作り方
- きれいなやかんや鍋で1リットルの水道水を10分間沸騰させる
- 生理食塩水を作る容器の中を沸騰させた水で2回程洗浄する。 ガラス製の容器なら別の鍋で煮沸消毒する
- 容器に100ml程度お湯を入れ、そこに食塩を4.5g入れ、よく攪拌する。 食塩が溶けきったら、400mlのお湯を加えて500mlにする
- できる限りその日のうちに使い切る。保存は冷蔵庫に。でも過信しないで
私の個人的な感想ですが、0.9%~3%の食塩水ですと鼻がツーーンとしません。
痛みも苦しさも感じませんよ。
ただ鼻の粘膜に傷がある場合は沁みます。
沁みて痛みがある場合は鼻うがいをやめて傷が癒えるのを待ちましょう。
気になるとき、長引くときは耳鼻咽喉科で受診してください。
鼻炎では2~3%の濃い目の食塩水で鼻うがいを行うと症状が和らぐという研究結果もあるようです。
生理食塩水を作るのに自身が無い方は、鼻うがい用のキットが販売されていますのでそちらを利用するとよいですね。
水溶液用の粉末が1回分ごとになっていますので、説明書通りに水に混ぜれば出来上がりです。
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専用の鼻うがいボトルも付属しますし、このボトルは電子レンジOKですので、温めるのも簡単ですよ。
正しい鼻うがいの姿勢
鼻うがいを難しいものと考えている人が意外と多いのですが、鼻うがいと言いますとコップや桶から片方の鼻の穴から水溶液を吸い込み、口や反対の鼻から出すという昔かっらの方法を聞いているからだと思います。
上でも紹介しました鼻うがいキットに付属するボトルは握ることで上部から噴水のように水溶液が噴出します。
ボトル上部は細くなっており、鼻の入り口にフィットするようにできています。
ですので、頭を下げて前かがみになり、ボトルをゆっくりと握って片方の鼻の穴から水溶液を注入していくと、反対側の鼻の穴から水が出てきます。
この時、口は半開きにして「あ”~~~」っと小さな声を出しながらやると、変なところに力が入って水溶液が奥に入ることを防いでくれます。
のどに水溶液が落ちてくるとはじめのうちはえづく人もいらっしゃいますが、慣れてくると落ち着きますよ。
みらいクリニックの医師が詳しく鼻うがいの方法を説明してくださっていますのでご参考に見てください。
無理をしない
上の方でも説明しましたが、鼻詰まりが酷い時などは無理をしないでください。
逆効果になる可能性があります。
鼻詰まりが酷い場合は耳鼻咽喉科で診察を受ける際に「鼻うがいをしたい」旨を伝えるのが良いですよ。医師も鼻うがいが効果があることは知っていてもなかなか巷に浸透していない方法ですので勧め難いことがあるようです。
鼻うがいに興味を持っていることを伝えれば鼻うがいの方法もレクチャーしてくれるかもしれません。
また耳鼻科で生理食塩水を貰うこともできるらしいですよ。
病院にもよるみたいですが、一度聞いてみるのも良いと思います。
また病状によっては鼻うがいがおすすめできないこともありますので、中耳炎などの治療中の方も医師に相談することがたいせつですよ。
まとめ
風邪に鼻うがいは逆効果になることもあります。
それは鼻づまりや風邪で鼻水が多い時に無理やり水溶液を押し込み、副鼻腔や鼻涙管に入り込んでしまった場合に、その場所で炎症を起こすことがあるからです。
しかし、やさしくゆっくり水溶液を注入すればそれらのトラブルは防ぐことができます。
またこちらの記事をお読みの方は鼻うがいは生理食塩水で行うことは十分ご承知ですが、まれに水道水やミネラルウォーターのままで行うと勘違いしている人がいらっしゃいます。
食塩を0.9%以上入れないと粘膜に沁みてかえって傷をつけることになりかねません。
また食塩濃度を3%以上の高濃度にするとまた粘膜を痛めることになります。
水道水を使って生理食塩水を作ることにも警鐘を鳴らす方もいらっしゃいますが、日本の水道は優秀ですのでそこまで気にしなくても大丈夫そうです。
気になる方は一度沸騰させた湯冷ましを使用するか、薬局で精製水を購入するのが良いでしょう。
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