新型コロナウイルスの感染者が毎日多く出ていて、心配になっている方も多いと思います。
ですが、実はテレビや大手新聞などでは一部間違った情報が出ていることを指摘している科学者や医師、研究者が出ていますよね?
テレビなどのメディアで科学者や医師が正しい情報を話しても、出演者である芸能人などが恐怖のあまりその話をきちんと聞かずに反論している場面が目立ちます。
これについて私が思うところは「科学的思考」に皆さんが慣れていないからだと考えています。
研究者の話をテレビで紹介している物を聞いたことのある方は分かるかもしれませんが、とにかく研究者や科学者の話は長いですよね?
その話を聞いていると「結局答えはなんですか!?」と「簡潔に述べてください」と思うでしょう?
実際国会でも専門者会議のメンバーの先生に短絡的に答えを聞こうとした国会議員がいて、SNSでも炎上したことがありますよね?
まずは科学的思考と言うのがなんなのか?と言うことを理解しないと科学者・研究者の話は長くて聞いていられなくなると思います。
まずは簡潔にPCR検査とはなんなのか?
メディアの勘違いはなんなのかからご紹介しますね。
PCR検査は実験手法!?
まずはですね、そもそも論として、PCR検査は実は感染症の診断検査の手法ではなく、実験手法だということです。
連日メディアでは、PCR検査での陽性判定がでた人の数を「感染者数」として発表していますよね?
これがまず勘違いなんですよ!
PCR検査で陽性となるのは、採取した検体内に目的とするウイルスが”居た”と言うことの確認なんです。
- のどの粘膜を採取すれば、のどに
- 唾液を取れば唾液に
ということですね。
しかもそのウイルスが生きていなくても反応するのです。
感染力が無くなったウイルスにもPCR検査では陽性となります。
そもそもPCR検査というのは?
そもそもPCR検査と言うのはDNA(Wikipediaへ)に含まれる特定の部位を数百万倍に増やして検出できるかどうかを見る検査です。
目的とするDNAの配列部分があれば陽性。なければ陰性となります。
小難しい話ですが、ウイルスが持っているのはRNA(Wikipediaへ)と言うものです。
DNAとRNAは違うものです。
それでPCR検査で検出するのはDNAの特定の部位です。
ですから、新型コロナウイルスのRNAを検出するためには、このRNAを元にしたDNAを合成しないと増幅することが出来ないのです。
ですのでわずかな操作の違いが結果に大きく影響することになり、他の検査より安定して正しい結果を出すことが難しい手法なんです。
では何でそのような手法であるPCR検査をしているのかと言いますと・・・現段階で他の手法が難しいからです。
最近になって、抗原検査や抗体検査と言う手法も使えるように開発が進んできていますが、こちらも完全とは言えません。
どの手法に於いても完全100%という手法はあり得ないのも確かですが・・・
「感度」と「特異度」の低いPCR検査
そもそもPCRは、いわゆる臨床検査で常用されません。なぜなら、検査というより実験手法に近くて労力もかかります。さらにPCRはDNAを百万倍に増幅しますから、わずかな操作の違いが結果に大きく影響するため、結果の安定性を管理することが他の検査より格段に難しいのです。
PCR検査の感度・特異度ともに低い、という話を耳にした人もおられるかもしれませんが、これが理由です。
結論としては、新型コロナウイルスでは、今のところ迅速診断の検査キットが開発されていないため、時間がかかる難しい手法のPCRを検査に使っているところが、インフルエンザの検査との違いです。
そして、PCR検査は、感度・特異度ともに低いので、検査対象を慎重に選ぶべきです。新型コロナウイルスに対する治療法がないとはいえ、肺炎には適切な対症療法があります。もちろん、高齢者や基礎疾患をお持ちの方に、重症化の危険はあります。むしろ、そうした方たちを守るために、不安に駆られて検査を求めるようなことは避けるべきでしょう。
出典:https://www.jescorp.co.jp/column/column11.html
PCR検査陽性と感染、患者の違いは?
PCR検査で陽性というのは、検体を採取した場所(のどの粘膜や唾液など)に調べようとするDNA(RNA)が有るか無いかの検査です。
ここが私たちにはややこしいのですが、ウイルスに於いてRNAと言うのは膜の中にあるものです。
ただし、ウイルスはなんらかの原因で膜が壊れれば感染することが出来なくなります。
これが手をアルコール消毒をすると膜が壊れてウイルスがダメになるということですね。
ただし、膜が壊れてもある一定期間は中身のRNAが漏れた状態ですが、十分にPCR法で増幅することが出来てしまうそうです!
と言うことは、感染力の無い壊れたウイルスでもPCR検査では陽性になってしまいます!
ここが面倒な所なんですよね・・・
PCR検査ではそのウイルスが感染力があるか無いかは分からないのです。
しかも百万倍に増やすわけですから・・・・元のウイルスの状態なんかわからないんですよね。
そこで「PCR検査で陽性 = 感染」 とはならないわけです。
ここをメディアが間違って伝えているのです。
感染とは?
ウイルスが粘膜に上の図のような突起でくっつくと数十分で細胞の中に入り込みます。
細胞内に入り込み、その細胞の機能を使って、自分のRNAをコピーして増やしていきます。
これが感染ですね。
分かりやすいか分かりませんが、例えば、
この状態が感染した状態です。
細胞に入り込み勝手にコピーした状態が感染です。
しかしこの状態では症状が出るかはまだわかりません。
これが症状が出るか出ないかの違いです。
患者とは?
患者とは、このような症状が出た状態のことを言います。
発熱や咳・くしゃみ・喉の痛みなど症状が出てしまった状態が患者です。
ここに至るまでには、体内で十分な量までウイルスが増殖し、様々な場所で炎症反応(免疫がウイルスを退治しようとして戦っているから、周辺組織にも攻撃があたり炎症を起こしている。)が起こると症状が出て患者となります。
PCR検査陽性と感染と患者の違い
厳密にはこのように言葉の定義が分かれています。
- PCR検査陽性とは、その検体を採取した場所にウイルスのRNAがあったということ
- 感染とは、ウイルスが細胞内に入り込み増殖し始めたこと
- 患者とは、ウイルスが十分に増殖し、発熱などの様々な症状を出している状態
と言うように分けられます。
2と3では、ウイルスが増えているから同じじゃないかと思う方もいらっしゃるでしょうが、そこが生物の難しいところです。
細胞内でウイルスが増え始めたとしても、自然免疫がその細胞ごと除去してしまいます。
体中にばらまかれる前に、貴方の免疫が体内(細胞)に入ってきたウイルスを退治するように働き始めます。
そうすると、増えるウイルスを増えた傍から退治していきますので、発熱などの症状が出るほどの量になる前に退治してしまいます。
このまま貴方の免疫が優勢ですと、ウイルスに感染しましたが、症状が出る前に退治できているので症状が出ずに患者になりません。病気になったとも感じないでしょう。
そして一般的に、ウイルスを他人に感染させるのは、貴方の体内で症状が出るほどにウイルスが増えた状態、つまりは体内から増えすぎたウイルスがあふれ出して、咳やくしゃみなどでウイルスを外にばらまくことになります。
ですので、ご自身の免疫でウイルスの増殖を抑えられている状態では、他人に対してウイルスをばらまかないことが一般的です。
PCR検査の勘違いまとめ
- PCR検査は実験手法であり診断検査ではない
- PCR検査の陽性は、その検体の採取場所(のど粘膜や唾液)にウイルスのRNAがあったというだけ
- PCR検査ではウイルスに感染しているかどうか、そこにどのくらいのウイルス量があるか、そしてそのウイルスが生きているかどうかは残念ながら分からない。
(PCR法は特定のDNAの配列部分を百万倍に増幅して調べるものだから元のRNAがどういう状態化は分からない)
そして、
- PCR検査陽性 - そこにウイルスのRNAが存在した可能性大
- 感染 - ウイルスが細胞内に入り込み増殖を始めた
- 患者 - 十分な量まで体内でウイルスが増殖し、発熱などの症状が出た状態
と言うように分けられます。
ですから、メディアで言われているように、「PCR検査陽性 = 感染者」ではないのです!
もちろん発熱などの書状が出ていて、PCR検査で陽性が確認されれば、高確率で新型コロナウイルスの感染患者と言うことになります。
無症状でPCR検査をして陽性の場合は・・・必ずしも感染しているとも言えず、患者とも言えないのが本当なんですね。
ですからメディアでは、
- PCR検査で陽性でも無症状の人数
- 発熱などの症状があってPCR検査で陽性の人数
- 発熱などの症状があってPCR検査で陰性の人数
に分けて集計して公表するべきだと思います。
そして、データとしては1番と3番の人は追跡調査をして、その中から2番に移行する人がどのくらいいるのかが知りたいですよね。
それが分かれば、濃厚接触者として無症状ながらPCR検査を受けて陽性となった人の中から新型コロナの患者がどの程度の割合で出てくるかが分かります。
無症状でPCR検査陽性と判定された人は必ず患者になるか?
追加で少し難しいですが面白い話があります。
無症状でPCR検査で陽性と判定された方の内どのくらいの人が患者になるのか?という問題です。
無症状の方の多くはそのまま無症状のまま終わっていきます。
何事も無くPCR検査陰性になることが多いようです。
そこで、ある方が真面目に計算をしてくれましたのでご紹介させていただきます。
PCR検査が陽性になったとしても、実際に新型コロナに感染している確率はわずか6.5%、つまり15人中14人は、検査結果が陽性であっても、新型コロナではない、ということになります。
逆に、新型コロナに感染しているのに検査結果が陰性になる人が30%もいます。
驚きの6.5%です!
詳しくは「本当にPCR検査は必要か?」を読んでください。
詳しい計算方法も掲載されていますよ。
PCR検査は感染症の検査や診断に用いてはならない!?
もう一つ面白い話題では、このPCR法を開発してノーベル賞を受賞したキャリー・マリス博士自身が「PCR検査を感染症の検査や診断に用いてはならない」と提言していたというから驚きですよね。
あくまで実験手法であり、そこにウイルスのRNA(細菌だとDNA)があるかどうかを確認する為の物でしかない為、感染しているかどうかの判断は出来ないからですね。
この点につきまして武田邦彦先生も解説されていましたよ。
前後の内容も面白かったので、ちょっと長いですが見てみてくださいね。
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