新型コロナウイルスがまだまだ落ち着かない中で、しきりに言われているのがPCR検査の受け難さ。
相談センターに電話してもなかなかつながらず、つながったとしても検査までたどり着けないということがSNSでも話題になっています。
そして、今度は【抗原検査】というものが出来るようになるというニュースが出てきました!
こちらの方が簡単に結果が出るので、救世主になるのではないか?と話題になっています。
そもそもこれらの検査の違いはなんなのでしょうか?
今さら聞けない検査のこと。
簡単に説明していきますね!
PCR検査とは?
PCR検査は、今のところ一番信用性が高い検査とされていますね。
偽陽性や偽陰性も出ることから100%検知するものではないのは確かですが、新型コロナウイルス(武漢風邪)を明確に検出する方法として全世界で行われています。
PCR法というのは目に見えないほど小さい微生物が居るのか居ないのかを検出する方法です。
日本微生物研究所によりますと、
遺伝子はそのままでは目で見ることはできません。しかし人工的に、増やしたい部分だけを増やすことができるようになり、特別な装置を使えば目で検出することが可能になりました。遺伝子増幅技術の代表的なものがPCR法です。
PCR法は、増やしたい遺伝子のDNA配列にくっつくことができる短いDNA(プライマー)を用意し、酵素の働きと温度を上げ下げすることで、目的の遺伝子を増やす方法です。増えたDNAを染め出す特殊な装置に入れる事で、増えた遺伝子を目で確認する事ができます。検体の中に増やしたい遺伝子があれば増えて目で確認することができ“陽性”と判定されます。しかし、検体の中に遺伝子がなければ増えないので、目で確認することはできず、 “陰性”と判定されます。
つまりは、遺伝子というものはその生物に特徴的なもので、他の生物とは全く違うものですので、特定の遺伝子を見つければ、その特定の生物がそこに居たことが分かります。
PCR法では、ウイルスの遺伝子を培養して増やすことで見えやすくする方法です。
ウイルスがよくいる場所(鼻の奥の粘膜)の組織を綿棒のようなものでこそげ取り、それを検査キットを使って増やして確認することで、ウイルスの存在を確認する方法です。
ですので、こそげ取ったところに偶々ウイルスが居ないか、極端に少ない場合は、仮に身体の中にウイルスが居たとしても【陰性】となってしまいます。
ここが難しいんですよね。
こそげ取り方が下手だと【陰性】になってしまいます。
抗原検査とは?
富士レビオが新型コロナウイルスの抗原検査キットを承認申請に出したということで一躍ニュースになりました。
みらかホールディングス子会社の富士レビオは、開発を進めていた新型コロナウイルスの抗原を検出する簡易検査キットについて、2020年4月27日に体外診断用医薬品として当局に承認申請したと発表した。検査結果は10分から15分程度で得られ、診療所や保健所などで感染者を拾い上げるのに活用できる。
抗原検査とは、ウイルスのたんぱく質に反応して存在を確認する検査方法です。
こちらも鼻の奥の粘膜を綿棒のようなものでこそげ取って、検査キットで調べます。
抗原検査の利点は検査に特殊な機械がいらないということですね。
町のクリニックさんでも、抗原検査キットがあればものの15分ほどで結果が出ます。
いち早い検査結果が出ますので、患者の振り分けには大いに活躍すると思います。
インフルエンザの感染が疑われる時に病院でやられたことがある人も多いでしょう?
あれと同じ検査ですね!
ただ、こちらも綿棒でこそげ取ったところに偶々ウイルスが居ないか、極端に少ない場合は【陰性】となります。
100%確実に結果が出せる検査方法は無理ですので、仕方がないのですが、PCR検査に比べれば検査キットがあればクリニックさんでも検査ができるため、病状が落ち着かなければ複数回検査することも可能です。
日を空けて数回の検査を行えば精度も上がってきますので、現状を打破する検査キットになると思います!
抗体検査とは?
抗体検査とは、確実性が高いのですが、”抗体”という特性上、”今”感染してウイルスが暴れているのかは分かりにくいです。
というのは、身体にウイルスが入ってきたら、自分の身体に備わっている免疫がウイルスと闘います。その闘いの中で、このウイルスはこういう奴だという記録をとり、そのウイルスに特化した”抗体”というスペシャリストを作り上げます。
このスペシャリスト【抗体】が、身体に有るか無いかを調べるのが抗体検査です。
ですので、抗体があるということは、ウイルスと闘った後だということです。
現在進行形で発熱などの症状があれば闘っている最中かもしれませんが、抗体ができるまでにしばらく時間がかかります。
ですので、抗体検査で分かるのは、貴方が今までにそのウイルスが身体に入ってきたことがあるか?を知るためとなります。
現在健康的な方でも、抗体検査で陽性になる人もいます。その人の場合は、過去にそのウイルスが身体に侵入してきたが退治したということですね!
抗体検査の利点は、血液を少しとればできるということです。
鼻の奥の粘膜をこそげ取ろうとすると、どうしても採取中に咳やくしゃみが出ることがあります。
当然医師は真正面に居ますので、飛沫を受けて感染のリスクが跳ね上がります!
ですが抗体検査は血液を採取するので、咳やくしゃみを誘発しません。
医師の感染リスクが低い方法ですね。
ただしデメリットとして、体内である程度ウイルスとの闘いが進んでいないと抗体ができない為、早期発見には向かないです。
新型コロナウイルスに感染していないを証明できるか?
ここで皆さんが気になっていることですが、最近では相談センターやコールセンターに寄せられる相談でも多くを占めるのがこの疑問です。
会社から言われているのでしょうが、
「私が新型コロナウイルスに感染していないと【陰性】の証明書が欲しい」
というものです。
様々なところで言われていますが、PCR検査も抗原検査も【感染していない】を証明することは出来ません!
残念ながらです。というのは感染症というものの特性と、やはり検査の精度の問題が出てきます。
上の各検査についての簡単な説明にも書きましたが、PCR検査も抗原検査も粘膜をこそげ取ったところにウイルスが居なければ【陰性】と出ます。
インフルエンザで病院に行かれた方の中でも医師から説明を受けた方もいらっしゃると思いますが、
「症状の出初めの時に検査をしても陽性とは出ないよ」
と言われたことはありませんか?
これは体内である程度ウイルスが増殖しないとのどの粘膜などにウイルスがこそげ取れるほど多く出てこないからですね。
ですから、数日後にならないと検出できないこともあります。
また、仮に発熱などの症状もない状態で検査をし、【陰性】と出て、本当にウイルスが居ない状態だったとしても、それは”その検査をした時”にはウイルスが居なかったということです!
普通はそれでひとまず安心ということでも良いのですが、東京都周辺などの感染が広まっている地域では、もしかしたら無症状の感染者が周りに多く居るかもしれません。
ひどい話ですと、検査に行った帰り道で満員電車などでウイルスを貰ってしまうこともあり得ます。
ですから、”今”ウイルスに感染していないことを証明することは出来ないのです。
新型コロナウイルス陽性で治療を受けていた人がPCR検査で陰性2回以上出ると完治とするのはなぜか?
【陰性】があまり信用できないとは言いました。
でも前提条件が違うと、結果の見方も違うのです。
一度【陽性】になって治療を受けた人は、体内でウイルスと闘った人です。
そうしますと、身体の中で抗体ができ、同じウイルスには対抗できるようになります。一般的には同じ感染症には罹らないか罹りにくくなります。
その状態での【陰性】であれば、体内のウイルスを打ち倒したということですので、所謂、「もうそのウイルスには罹りません(退治できます)」という証明になります。
この場合に於いてのみ、ウイルスが居ない証明としてPCR検査・抗原検査【陰性】の意味が出てくるんですね!
まとめ
PCR検査も抗原検査も、ウイルスが”居る”ことを確認する為の検査です!
こういうと、「居る」の反対は「居ない」だから、【陰性】となったら居ない証明になるだろうと考える人が多くいますが、科学はそんなに単純ではありません。
「悪魔の証明」という言葉を聞いたことがあると思います。
【無い】ことの証明は非常に難しい・・・というか不可能に近いです。
「有る」ことの証明は、その存在を1つでも確認できれば「有る」と分かります。
しかし、「無い」ということは、すべての場所・時代・記録を探して、それでも見つからない時に初めて「無い」と証明できるのです。
よく例に出されますが、
「ツチノコ」は存在するのか?
という問題です。懸賞金がかけられていたこともありますよね?
しかし「ツチノコ」が居ないことを証明するには、地球上の秘境も含めてすべての場所を同時に捜索し(同時じゃないと、たまたま探した時にはツチノコは別な場所に移動していたかもしれないから)、またすべての時代で同じことをした上で、「見つからない」という事実が必要です。
ね?現実的に不可能でしょ?これが「悪魔の証明」です。
話は脱線しましたが、つまりはそういうことで、検査で分かることは新型コロナウイルスに感染していることであり、感染していないことを証明することは事実上不可能です。
感染者と患者の違い
今回の新型コロナウイルスに関してだけ世間が特殊なんですよ?
今までは世界各国そうですが、「感染者」をカウントすることは無かったのです。
一般的には「患者」の人数をカウントするのが普通でした。
「感染者」と「患者」の違いはなんなのか?
それは症状が出ているか出ていないかの違いです。
日々私たちの身体の中には様々なウイルスや細菌などが入ってきています。
毎日さまざまな経路で侵入してきているんですね!
そのウイルスや細菌たちの中で有害な奴らは、体内の免疫で退治しています。
体内に侵入した = 感染した
ということですので、毎日感染しているんですね!
でもそのウイルスや細菌が爆発的に増殖する前に免疫たちが退治してくれているので、発症(症状が出る:発熱や腹痛など)しないわけです。
発症しないということは、体内で退治できているということなので、病院での治療は必要ありませんよね??
そいういうことです。だから感染者でカウントせず、患者数、つまりは体内で対処しきれず症状が出てしまった方 → 病院での治療が必要な方をカウントするべきなのです。
「検査を多くすると医療崩壊が起きる!」
なんて言う方もいますが、この感染者と患者の違いが分かっていないのですね。
(政治家の中でも理解できていない方が多いので困ります)
検査をした上で、治療の必要な方を分けて、その人たちには適切な医療を提供することが大切なのです。
現在のところ感染が分かったら症状が無いにも関わらず病院に送られます。そんなことをしていたらパンクするのはあたり前ですよね?
ただ、新型コロナウイルスは面倒な面があります。
それがご存じの通り悪化し始めたらあっという間に重篤になることです!!
これがあるから対応が大変になるのですね。
無症状、軽症だから自宅やホテルで待機・・・でもまれに急激に悪化して重篤になるケースがある・・・目が離せない・・・。
ということです。
どこで線引きをするのが正しいのかが難しいです。
当初中国武漢では体育館の様な所や公共施設のホールのようなところで、簡単な間仕切りで患者をおしこめていました。
私もアレは無いよね?なんて思って見ていましたが、ここにきてあの方法は良い方法だと再認識しました。
急に悪化する病気ですから専門家の目が届いた方が早く対処できるわけです。
あのように見通しが良ければ病状が悪化した患者を発見することがより容易にできるでしょう!
日本ではプライバシー云々と難しい方法ではあるのですが・・・。
若い人に於いては、この無症状・軽症から悪化するケースの一部では服薬の間違いがあると考えています。
それは「解熱薬」です。
熱が出たから下げようと、解熱剤を飲む方が居ますが、普通の風邪でも同じなんですけど、間違いです!
発熱は、身体がウイルスと闘うために準備と支援攻撃の為に体温を上げています!
ですから、せっかく闘う準備をしているのに解熱薬で熱を下げたら、ウイルスに勝てなくなってしまいます。
氷枕や氷嚢は別ですよ?
頭を冷やすのは大切なことです!身体の中で脳みそは熱に弱いので首筋など血管の通るところを冷やして脳が熱くなるのを防がなくてはなりません!
脳以外は熱に強いので、38度台後半までは大丈夫です。
私は年に2回は風邪をひきますが、39度まで解熱剤は飲まないです。38.6度を超えたあたりで「わきの下」や「股の間」に氷嚢(ビニール袋に氷を入れたもの)を当てて熱を下げます。39度に達したらしぶしぶ解熱薬を飲みます(笑)それで簡単な風邪なら翌日にはほとんど良くなっていますし、酷くても3日で完治します。
熱を出すこともある程度は大切なんですよ!
ただ、熱に弱い方もいますので、耐えられないときは遠慮なく薬を使った方が良いですし、幼児や高齢者の場合は医師の指示に従った方が良いですよ!体力が無いと熱でもダメになりますからね!
とにかく一日も早く新型コロナウイルスが終息することを願っています!!
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