海外旅行は、普段とは違う世界に飛び込み、自分たちとは違う文化に触れ、ドキドキ、ワクワクする大変楽しい物ですよね?
国が変われば、気候もかわり、風景も、食事も、そして常識も変わります。
海外旅行では特に、自分自信がその国・地域にとってイレギュラーだと言うことを頭の片隅に置いておく必要があると思います。
自分の常識が通じないことも・・・
子犬を助けて・・・
大変痛ましいニュースがありました。
フィリピンを旅行していたノルウェーの24歳の女性が、旅行先で保護した子犬に噛まれて狂犬病に罹ってしまったと言うことです。
噛まれたと言っても、子犬と遊ぶと良くある、じゃれついての甘噛みと言った感じでしょうか?
休暇で訪れていたフィリピンで、24歳のノルウェー人女性が助けた子犬に噛まれ、狂犬病により今週亡くなった。遺族が9日夜に明… https://t.co/SmRx7ifkxx
— AFPBB News (@afpbbcom) 2019年5月11日
経緯は?
フィリピンを旅行中オートバイで移動していた時、道端で弱った野良の子犬を見つけたそうです。
かわいそうに思った女性が、その子犬を連れ帰り、身体を洗ったりと世話をしていたら、元気になっていったと言うことです。
元気になった子犬とじゃれ合い遊んでいる内に噛まれたと言うことでしたが、おそらくは子犬によくある甘噛みという感じではないでしょうか?
女性は帰国後に発症し、帰らぬ人となりました……
心優しい方だったんだと思います。
助けられた子犬も不本意だったでしょう…こんな事になるとは……
心より御冥福をお祈り致します。
狂犬病のリスクが高い国は?
日本国内では、ほぼ駆除された狂犬病。
犬を飼っている方では、常識となっている飼い犬への狂犬病予防注射。
国をあげて、野良犬の撲滅、飼い犬への予防接種の徹底。
そして、犬はリードにつなぐと言うのも、噛まれての感染症拡散を防止する側面があります。
きちんと躾をしないと、犬は積極的に噛みにいきますからね(笑)
(甘噛み含めて)
また犬意外の動物からも狂犬病がうつる場合があります。
図を見てわかる通り、アメリカやヨーロッパでも、ほとんど狂犬病のリスクが無いです。
ですから、我々を含め、狂犬病を心配することかなく、そして動物愛護やテレビの動物番組などで『可愛い』だけが強調されているので、子犬に対しては特に警戒心が無いのでしょうね?
海外に行ったら、動物にむやみに触らない!
万が一噛まれたら病院にすぐに行く!
と言うことが大切です!
狂犬病は発症すると100%亡くなりすので……。
今回の件も、ノルウェー本国で人間が狂犬病に感染した最後の記録は1815年にさかのぼり、動物への感染例は1826年が最後だという。
ヨーロッパ圏でも、狂犬病撲滅で徹底してきたために、国内では狂犬病の患者が出ていなかったです。
狂犬病とは?
日本では、1950年に「狂犬病予防法」が制定されました。
それ以前では、狂犬病が蔓延した時期もあり、多くの犬と人が狂犬病に亡くなりました。
その後、犬の登録、予防注射、野犬等の抑留が徹底されるようになり、わずか7年という短期間のうちに狂犬病を撲滅するに至ったことは当時の関係者が尽力した結果でしょう!
それだけ恐ろしい病気であり、また、予防注射で撲滅できるという手段があったので、ここまでの成果が出せたのでしょう。
ただ残念ながら、現在でも狂犬病に発症してしまった場合、致死率は100%です!!
発症する前に治療を行うことが出来れば、生存率はぐっと上がります!
狂犬病とは
病原体 感受性動物・感染経路 対象 潜伏期 症状と診断 治療と予防 狂犬病ウイルス ○感受性動物:
全ての哺乳類(ヒトを含む)○感染経路:
狂犬病にかかった動物(罹患動物。アジアでは主にイヌ)に咬まれた部位から、唾液に含まれるウイルスが侵入。
通常、ヒトからヒトに感染することはなく、感染した患者から感染が拡大することはない。ヒト 1~3カ月間程度 (1) 臨床症状
○前駆期:発熱、食欲不振、咬傷部位の痛みや掻痒感
○急性神経症状期:不安感、恐水及び恐風症状、興奮性、麻痺、幻覚、精神錯乱などの神経症状
○昏睡期:昏睡(呼吸障害によりほぼ100%が死亡)○治療:
発症後の有効な治療法はない。○予防:
罹患動物に咬まれた場合、ワクチン接種等により行う。
海外の狂犬病発生国で頻繁に動物に接する場合には、渡航前に狂犬病ワクチンを接種しておくことが望ましい。(2) 病原体診断
[1]PCR法による病原体の遺伝子の検出(唾液等)
[2]蛍光抗体法(FA)によるウイルス抗原の検出(皮膚、角膜等)
[3]間接蛍光抗体法(IFA)又はELISA法による抗ウイルス抗体の検出(脳脊髄液)
[4]分離・同定による病原体の検出(唾液)イヌ 2週間~2カ月間程度 (1) 臨床症状
○前駆期:性格の変化と行動の異常
○狂躁期:興奮状態(無目的な徘徊、目に入るものを頻繁に咬む)、光や音の突然刺激に対する過敏な反応
○麻痺期:全身の麻痺症状による歩行不能、咀嚼筋の麻痺による下顎下垂と嚥下困難、舌を口外に垂らしながら流涎、昏睡状態になり死亡
※狂躁期と麻痺期を明確に分けることは困難なことが多く、前駆期から麻痺期に移行することもある。○治療:
治療はしない。○予防:
年1回の予防接種が義務づけられている。(2) 病原体診断
[1]脳組織の塗抹標本を用いた直接蛍光抗体法によるウイルス抗原検索
[2]脳組織乳剤を用いたRT-PCR法によるウイルス特異遺伝子の検出
[3]脳組織乳剤を乳のみマウス脳内及びマウス組織芽細胞腫由来培養細胞に接種して行うウイルス分離法
日本国内の狂犬病の発生状況
1953年 1954年 1955年 1956年 1970年 2006年 死亡者数 3人 1人 0人 1人 1人 (※1) 2人 (※2) 犬の発生数 176頭 98頭 23頭 6頭 発生なし 発生なし ※1 ネパールを旅行中、犬に咬まれ帰国後発病、死亡した輸入症例。
※2 フィリピンを旅行中、犬に咬まれ帰国後発病、死亡した輸入症例。
海外の人が日本に来て犬を怖がるのは?
日本では、狂犬病ウィルスをほぼ撲滅できています。
東南アジアなど、狂犬病のリスクの高い国から日本に来た人が、やたらと犬を怖がる事があるのは、
『犬は噛む』
からだけでは無く
『犬は恐ろしい病気を持っている』
のが、国元の常識だからと言うこともある様です。
「え〜〜〜、こんなに可愛いのに〜!」
なんて言えるのは、日本の過去の偉人たちが感染症や伝染病の撲滅に奔走し、心血を注いでくれたからでしょうね!
厚生労働省も、狂犬病流行地域への渡航時の注意をしている。
厚生労働省のホームページにも、狂犬病に関してのページ(狂犬病Q&A)があります。
一部抜粋しますと、
平成18年には、フィリピンに滞在中に狂犬病の犬に咬まれ、感染し、ワクチン接種しなかったため、日本帰国後に狂犬病を発症する事例がありましたので、このことを踏まえて狂犬病に関するQ&Aを作製しました。
引用元:厚生労働省HP
と、日本でも平成18年に、狂犬病の感染者が出た模様です。
今回のノルウェーの女性もそうですが、同じフィリピンですね。
たとえ飼い犬だとしても、海外では日本ほど狂犬病の予防接種が徹底していない可能性がありますので、むやみに触れないことが大切ですね。
ましてや野良犬となれば、どうなっているかも分かりませんので、絶対に触れないようにして下さい。
どうしても動物に触れる機会がある人、または長期滞在する人(滞在する期間が長ければ、それだけ不慮に動物に触れる確率が上がるからですね)予めワクチンを打ってから渡航するようにした方が良さそうです。
狂犬病流行地域に渡航される方へ渡航中に狂犬病に感染しないよう、以下のことについてご注意下さい!
・ 滞在中にむやみに動物に手を出さないようにしましょう ・ 万が一、滞在中に犬等に咬まれた場合には、
(1) すぐに傷口を石けんと水でよく洗いましょう (2) 現地医療機関を受診し、傷の手当てと狂犬病のワクチン接種を受けましょう (3) 帰国時に検疫所(健康相談室)に申し出ましょう
犬を飼っている方へ狂犬病予防法に基づき、犬の飼い主には以下のことが義務づけられています。
・ 市町村に犬を登録すること。 ・ 犬に毎年狂犬病の予防注射を受けさせること。 ・ 犬に鑑札と注射済票を付けること。
(1) 毎年4月から6月は狂犬病予防注射期間です。 (3) 詳しくは市町村の窓口にお問い合わせ下さい。
海外旅行中に万が一、犬に噛まれたりした場合、「現地医療機関」にすぐかかって下さい!
そして傷の手当てと共に、「狂犬病ワクチン」の接種を受けてください!!
なぜ現地でかというと、
何度も繰り返しますが、狂犬病は、発症したら100%助かりません!!
潜伏期間とか、言ってないで、即治療を開始しないといけません。
万が一、発症までに治療(ワクチン接種)が間に合わなかったら・・・
言わなくても分かりますね!
ですから、
「数日の旅行だし、日本に帰ってからでいいよね~。保険がきくしね!日本語通じるしね!!」
なんて悠長なことを言っている場合ではありません!
Q4 どのような動物から感染しますか。
A4 感染動物すべてから感染する可能性がありますが、主な感染源動物は以下のとおりです。渡航中は特にこれらの動物に咬まれないように注意してください。中でも、犬が人に対する主な感染動物です。
アジア、アフリカ;犬、ネコ
アメリカ、ヨーロッパ;キツネ、アライグマ、スカンク、コウモリ、ネコ、犬
中南米;犬、コウモリ、ネコ、マングース
イヌ科の動物は、狂犬病のウイルスを持ちやすいです。ですからネコも油断できないです。
(しかし、ネコは割合臆病なので、自分から向かって言って噛みつくと言うことが少ないので、日本でもネコをリードに繋ぎなさいとは言わないですね)
Q5 どのくらいの人が狂犬病に感染して亡くなっているのですか。
A5 世界保健機構(WHO)の推計によると、世界では年間におおよそ5万5千人の人が亡くなっています。また、このうち3万人以上はアジア地域での死亡者と言われています。
想像以上の人が狂犬病で亡くなっているんですね。
そのうちの半分以上がアジア圏で亡くなっていると言うから、アジア方面に渡航される方は予防接種をした方が良いかも知れませんね?
Q7 狂犬病に感染した人はどのような症状を示しますか。
A7 強い不安感、一時的な錯乱、水を見ると首(頚部)の筋肉がけいれんする(恐水症)、冷たい風でも同様にけいれんする(恐風症)、高熱、麻痺、運動失調、全身けいれんが起こります。その後、呼吸障害等の症状を示し、死亡します。
このような症状が出るのですね。
創作物では、狼男や一部の吸血鬼のモデルが狂犬病なのでは無いかと言われていました。
Q9 狂犬病に感染した人から感染しますか。
A9 通常、狂犬病が人から人に感染することはありません。これまでに臓器移植による感染が認められていますが、非常にまれな事例といえます。なお、輸血により感染したという報告はありません。
Q10 狂犬病を発症した場合に治療法はありますか。
A10 狂犬病は一旦発症すれば効果的な治療法はなく、ほぼ100%の方が亡くなります。感染動物に咬まれるなど感染した疑いがある場合には、その直後から連続したワクチンを接種(暴露後ワクチン接種)をすることで発症を抑えることができます(Q11参照)。
Q11 暴露後ワクチン接種とはどういうものですか。
A11 狂犬病発生地域で犬などに咬まれて感染した可能性がある場合に、発症を予防するため接種するワクチンのことをいい、出来るだけ早く接種を開始する必要があります。暴露後ワクチンは、初回のワクチン接種日を0日として、3日、7日、14日、30日及び90日の計6回皮下に接種します。
Q12 狂犬病に感染してから発症するまで、どのくらいの期間がありますか。
A12 狂犬病は感染してから発症するまでの期間(潜伏期)が一般に1ヶ月から3ヶ月、長い場合には感染してから1年から2年後に発症した事例もあります。なお、発症前に感染の有無を診断することが出来ません。
もし万が一、狂犬病に感染している動物に噛まれたりしたら、即座に暴露後ワクチン接種を開始して下さい。
合計6回の注射になりますが、これで発症を抑えられれば命に別状はないです。
ただ怖いのは、「発症前に感染の有無を診断することが出来ません。」と言うことです。
動物に噛まれたけどどうなんだろう?と言うことは発症するまで分からないのです!
ですから念のため、万が一に備えて、即座に暴露後ワクチン接種を開始することが良いのです。
限定的に、自分が狂犬病に罹っているか分かる方法があります!
Q19 自分が感染しているかどうかはどうやったら分かりますか。
A19 咬んだ動物の特定ができ、その動物の予後を観察できる場合、受傷してから2週間以上その動物が狂犬病の症状を示さない場合には、咬まれたときに狂犬病に感染した可能性を否定できます。ご自身の検査により感染しているかどうかを調べることはできません。発症してしまうと治療法はありませんので、流行地で動物に咬まれるなど感染した疑いがある場合には、直ちに暴露後ワクチン接種を開始することをお勧めします。
自分を噛んだ動物を捕まえておいて、その動物が2週間以上狂犬病の症状が出なければ、狂犬病に罹っていないと考えられると言うことでした。
現実的じゃ無いですよね?
ですから、海外で動物に噛まれたら即座に暴露後ワクチン接種を開始するべき何ですね!
Q16 狂犬病の流行国に渡航する予定です。どのようなことに気を付ければいいですか。
A16 感染しないようにするためには、むやみに動物に近づかないことが重要です。動物に近寄ったり、医療機関のないような地域に行く場合については、事前に狂犬病の予防接種を受けることも検討してください。また、万が一渡航先で動物に咬まれた場合は、現地医療機関を受診し、傷の手当てと狂犬病ワクチンの接種を受けて下さい。また、帰国時に検疫所(相談室)に相談してください。
Q17 事前の狂犬病の予防接種とはどういうものですか。
A17 狂犬病の流行地域に渡航する場合であって、動物との接触が避けられない、又は、近くに医療機関がないような地域に長期間滞在するような方は、渡航前に予防接種を受けることをお勧めします。
十分な免疫力を得るためには、4週間間隔で2回の皮下注射と、6~12ヶ月後の追加注射が必要となります。
なお、暴露前のワクチン接種を行っている場合であっても、犬などに咬まれて感染した可能性がある場合には暴露後のワクチン接種が必要です。事前予防接種の履歴が明らかな場合には、暴露後免疫は、接種初日(0日)と3日後の2回接種をすることになります。
事前の狂犬病の予防接種と言うことが出来ます。
これで完全に安心というわけではありませんが、ぐっと狂犬病を発症するリスクを下げてくれます!
現地に長期滞在しないといけない場合は、事前の予防接種は受けておくと良いと思いますよ!
心配な時、詳しくは厚生労働省検疫所のホームページ(https://www.forth.go.jp/)でご確認下さい!
『海外で健康に過ごすために情報』が掲載されていますよ!
狂犬病は日本でも油断は出来ないかも?
狂犬病は何も犬だけでは無いです。
イヌ科だったら、罹る可能性があります。
ですので、野生の狐や狸にも触れない方が良いとされます。
(エキノコックスなどほかの寄生虫などもこわいですが…)
コウモリにもウィルスを持っていることがある様です。
コウモリの糞が乾燥して、その粉塵を吸い込んで感染したと言うこともあったとか!
田中隊長は大丈夫でしょうか?
発症する前に対処すれば助かる病気ですので、動物に噛まれたり、引っかかれたりして怪我をしたら即日病院に行き、
「〇〇(動物)に噛まれた(引っ掻かれた)」
と申告し、きっちり治療をしてもらって下さい。
殊に海外で噛まれた場合は、狂犬病も心配なので、その旨を医者に伝えて下さい。
ここしばらく、基本日本国内では狂犬病は見つかっておりません。
とりあえずは犬からは移らないと思います。(野犬・野良犬は分かりません)
動物は可愛いですが、私達も正しい知識を持って、より良い関係が築けるようになりたいですね!
海外での野良犬は、例え子犬であってもNGですよ?
『可愛い』『かわいそう』であっても絶対に触れないでくださいね!
写真や動画を撮るだけに留めてくださいよ!(笑)
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