日本国内でも新型コロナウイルスのワクチン接種が進む中、言われ始めていることがあります。
それが
「ワクチン接種しても新型コロナに感染する」
ということです。
「ブレイクスルー感染」と英語圏で言われ始め、日本でも同じ言葉を使い始めました。
実はこれは正しくないどころか、とっくの昔にウイルスの専門家は起こり得ることを見抜いていましたよ。
どういうことでしょうか?
mRNAワクチンでは新型コロナウイルスに感染する!?
ちょ~簡単に説明しますと
もともとmRNAワクチンでできる抗体は「IgG」という抗体で血液内にできる抗体です。
この抗体が出来たら血管内を「IgG」が流れることになります。
そこに新型コロナウイルスが入ってくれば、この抗体が付着し、ウイルスが細胞に取り付くことを邪魔します。
ですが、新型コロナ感染症は何で感染が広がると言っていますか?
そうです!飛沫感染という話が現在は主流ですよね。
つまりウイルス保持者から咳やくしゃみ、会話時に飛んだ唾液などに含まれたウイルスを吸い込んでの感染言われています。
この場合、そのウイルスがどこから体の中に入りますか??
そうです、喉や鼻、目などの粘膜です。
外界と接しているのは粘膜ですね。
皮膚ももちろん外界と接していますが、皮膚自体は汚れても大丈夫なように丈夫に出来ていますので、皮膚を通して新型コロナウイルスが入り込むということはほぼ無理です。
それで話は戻しますが、mRNAワクチンで誘導できる抗体が血管内に流れる「IgG抗体」という話をしましたよね?
そうなんです。
血管内までウイルスが到達すれば、この抗体で退治ができるのですが・・・
粘膜表面に付着したウイルスや粘膜からすぐの細胞では「IgG抗体」が届かないのです!!
ですので、初期の感染はこのワクチンでは防ぐことが出来ない可能性が高かったのです。
免疫システムは複雑怪奇?
実際免疫に関しては非常に複雑で難しいです。
何重にもセキュリティの編みを張り巡らしているのが生物の免疫です。
それらの相互作用を含めると本当に膨大な種類の反応になります。
抗体についてもいくつか種類がありますが、未だに何の働きをするのかわからない抗体もあるんですよ!
医学部でも「免疫の基礎(どこまでを基礎とするかも大変)」の授業は半年以上ありますしね。
粘膜で働く抗体が無いと感染を防げない
それでわかっている範囲で粘膜で働く抗体は「IgA抗体」と言います。
これを活発にする、作り出すワクチンは今の所出来ておりません。
本物の新型コロナウイルスに感染すれば、粘膜からの侵入になりますので、段階的に様々な免疫が刺激される過程で粘膜の「IgA抗体」も作られる可能性が大きくなります。
この免疫を獲得できれば、文字通り感染を防ぐことができる可能性が高まります。
そもそも”ブレイクスルー”ではない!?
ということで「ブレイクスルー感染」という言葉を使っているようですが、そもそも粘膜部位に抗体が作れないタイプのワクチン(mRNAワクチン)ですので、”防御を通り抜けてきた”という表現は間違いです。
あたかも【想定外】の感染であるような表現ですが、ウイルスやワクチン、免疫に詳しい研究者や専門家からするとおかしな話なのです。
想定外どころか、『やっぱりね』という感じですらあるようですよ。
免疫システムがわからないとワクチンの事も深くはわからない
正直、免疫システムを説明するのは面倒です。
複雑に絡み合っていますし、
自然免疫、獲得免疫、抗体、補体、マクロファージ、Tリンパ球、Bリンパ球、白血球etc・・・
と用語も免疫に関わる物質や組織の名称など山程出てきますし、それらが相互に作用したりするので、ウイルスや病気と戦う免疫システムは超大作スペクタクル大巨編になります。
だって大学で少なくとも半期以上は入り口だけでかかるわけですから。
しかも専門家はご自身の一生をかけて免疫システムの謎の解明に勤しんでおられるわけですよ。
本当は義務教育内で入門編というか入り口の部分を徹底的に学ぶべきだと思うんですよね。個人的には。だって自分の身体のことですし、将来の健康を考えるためにも必要な教育だと思うんですよね。
脱線してしまいましたが、その今回の新型コロナとワクチンに関して理解できる様に最低限の免疫に関することをなるべくわかりやすく解説している動画がありましたのでご紹介します。
宮沢孝幸准教授が説明してくださっています。
それでもまだまだ難しい内容ですので、それぞれの出てきた用語をまたググると理解が深まると思いますよ。
油断せずに感染対策は必要です。
免疫システムは非常に難しいということと、ワクチン接種しても新型コロナに感染するのは”想定外”の”ブレイクスルー”感染ではないということです。
もともと今回のワクチンの目的は『重症化を防ぐ・死者を減らす』ということです。
幸いなことに日本国内の状況を見ても。ワクチン接種によって「重症化を防ぐ」ということは今の所役割を果たしているようです。
たとえ新型コロナに感染したとしても、重症化せずに回復すれば問題が無いわけです。
ですから、ワクチンを接種した多くの人は重症化せずに回復するようですね。
しかし、ワクチン接種後も感染することもありますし、それを他人に感染させることもあることが分かっています。
アメリカの保健当局は7月に国内で発生した新型コロナの集団感染を分析し、デルタ株の場合、ワクチンを接種した人もウイルスを感染させる可能性があると明かしました。
アメリカCDC(疾病対策センター)は30日、7月に東部マサチューセッツ州で集団感染が確認された469人のうち、約74%がすでにワクチンの接種を終えていたとする分析結果を公表しました。
CDCのワレンスキー所長は声明で、「デルタ株に感染した場合、ワクチンを接種した人もしていない人と同等にウイルス量が高くなることが明らかになった」「デルタ株に感染したワクチン接種者がウイルスを他の人に感染させる可能性がある」と指摘しています。
この分析結果をもとに、CDCは27日、感染が拡大する地域では屋内でマスクを着用するよう指針を見直しました。
ワクチンについてはデルタ株にも重症化を防ぐ効果があると訴え、早期に接種するよう呼び掛けています。
引用:https://news.tv-asahi.co.jp/news_international/articles/000224199.html
ですので、ワクチン2回目接種後充分な時間が経っていたとしても、感染することはあります。
その上、ワクチン効果で症状が殆ど出ない可能性もあります。(良い事)
しかし、そのままだとウイルスを他人に感染させる可能性もあります。(気づかずに)
これらの可能性が捨てきれない状況ですので、今しばらくはワクチン接種完了していても今まで通り感染症対策をしていたほうが良さそうですね。
早くコロナ禍が終わってほしいものです。
【参考】
デルタ株のR0は8 (CDC等)。桁違い感染力。指数関数増大。今日本はパンデミック下。デルタ株は国外では結構前から拡大してたのが五輪からいきなり日本でパンデミックは五輪が原因と推測。デルタ株蔓延国から結構の関係者が来日し都内出歩いてた。一人のすり抜け入国でパンデミックになるのがR0=8感染力 https://t.co/IAgNP6GGDp
— 苫米地英人 (@DrTomabechi) August 14, 2021
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