和歌山県が今年3月14日から1ヶ月間の新型コロナ感染者を調べたところスクリーニング検査で変異株と判明した患者は、従来株と比べて2倍以上肺炎になりやすいという研究結果を出してきました。
それは本当なのでしょうか?
詳しい生データが見つからないので本当だろうとは思うのですが、概数で計算してみたら、怪しい場合もありそうでした。
和歌山県の調査方法は?
毎日新聞の記事によりますと、3月14日から一ヶ月間の感染者のうち、スクリーニング検査を行ったのが363名です。
そのうち変異株と判明したのが205名です。
従来株とだったのが158名です。
そして、なぜか、母数を合わせるためか、ここに従来株と思われる感染者を49名足します。
158+49=207
とします。
なぜ足したのでしょうか?
結果は、年代別のパーセンテージで出されています。
(ますます49名を従来株側に足す意味がわからない)
調査結果は?
調査結果のグラフはこちらです。
肺炎にかかった人の割合
- 20歳未満
従来株 約5%
変異株 約9% - 20代
従来株 約14%
変異株 約34% - 30代
従来株 約17%
変異株 約53%
と確かに倍近くから、30代に至っては3倍以上になっています!
これだけ見ると、変異株は恐ろしい!となりますよね?
本当にそうなんでしょうか?
変異株は本当に脅威か?
本当に変異株は恐ろしいのか?
このグラフではパーセンテージしかわかりません。
そして私はどうもあとから足された49名の意味がわかりませんでした。
ですので実際にデータを探してみました。
まずは和歌山県のHPにある新型コロナの感染状況のデータを探します。
ここの【入院患者数の推移】というグラフの下にエクセルデータがダウンロードできるところがあります。
【感染状況推移(エクセル形式 55キロバイト)】
(データ更新されるとリンク切れの可能性あり。公式HPで確認してください。)
そのエクセルデータによりますと、3月14日から4月13日までの新規感染者数は415名でした。
変異株のスクリーニング検査に使用したのは363名分とのことですので、差は52名です。
そして後から従来株感染者数に追加したのが49名分です。
計算上は数字があっています。
(残り3名はどちらかわからない状態だったか検査不能だったかですね。)
各年齢別の感染者数は?
まとめてあるデータが見つからなかったので、和歌山県が毎日発表している陽性者の概要の資料を確認しました。
私が数えたところ3月14日〜4月13日までの感染者の年齢別の人数は、
- 20歳未満 59名
- 20代 68名
- 30代 33名
でした。
30代が総数33名で、従来株より変異株が約3倍肺炎になったというのは・・・ちょっと調査するには人数が少ない気がします。
そして、それぞれ変異株感染者が各年代何人いたのかもわかりません。
そこで数字を簡単にして、仮定の計算をしてみようと思います。
特に最初にスクリーニングからあぶれた52名も年齢層の内訳がわかりませんので、本格的な検証をしようがないのですが・・・。
20歳未満場合計算してみると・・・
まず総数が59名でした。
そして全体のスクリーニングをした人数363名のうち56.5%に当たる205名が変異株だったことから、同じ割合だと仮定します。
(実際は子供さんの場合無症状者も多かったのでもっと低くなりそうですが)
56.5%が変異株だったとすると
- 従来株 26名
- 変異株 33名
となります。
そしてそれぞれグラフの%をかけると肺炎になった患者数は、
- 従来株 1.3名
- 変異株 2.97名
26名中1人と33名中3名が肺炎になったことになります。
ところが、実際は後から49名を従来下部側に足していますよね。
その足し方も仮定すると面白い結果が出てきます。
(妄想)後から足した49名の行方で・・・
後から足したということは最初にスクリーニングした時はその分引いていたということです。
つまり・・・
20歳未満ということは10代と10歳未満です。
そしてこの年代は無症状も多いですし、無症状の乳幼児も含まれています。
ですので他の年代よりも最初にスクリーニングができなかった人が多いと推測されます。
そこで思い切って20名ほど最初は抜いておきましょう。
59ー20=39名
とします。
そして変異株の割合は全体の割合56.5%と仮定します。
そうしますと、
- 従来株 約17名
- 変異株 約22名
となります。
そしてここから妄想です!
もし両方とも同じ割合で肺炎になっていたとしたら・・・
つまり変異株と同じ約9%が肺炎になっていたと妄想します。
すると、
肺炎者数(9%)
- 従来株 1.53名
- 変異株 1.98名
となります。
そして、最終的な計算をする前に、和歌山県は49名の新たな従来株と思われる人を追加しました。
(年齢層はわかりません)
今回の妄想では、20歳未満は無症状も多いので予め20名引いて置きました。
でもこれはさすがに引きすぎたということで、13名戻します。(20名/49名)
そして再計算しますとどうなるでしょうか?
従来株の人数は17名→30名に増えます!
そして肺炎患者割合を検査すると・・・
1.53÷30=0.051
つまり・・・約5%になるんですよ!
スクリーニング検査をした段階では同じ9%が肺炎になっていたのに、後から人数を従来株にだけ足したので薄まったわけですね。
そして足した13名は無症状をはじめ、乳幼児など問題のなかった(肺炎にならなかった)人たちです。
(無症状等だからスクリーニング検査から除いてた?)
更に(妄想)30代の約3倍は本当か?
調子に乗って更に妄想を続けます。
30代の変異株のほうが約3倍肺炎になると言うもすごいですよね!
まず素直に計算します。
変異株の割合が仮定の56.5%としますと、
33☓56・5%=18.65
約19名が変異型とします。
- 従来型 14名
- 変異型 19名
それぞれ17%と53%が肺炎になるから、
2.38名と10.07名とインパクトのある数字になりますね。
総数でも33名中12.45名が肺炎になったということですね!
これはすごいですね。
妄想計算はじめるよ〜!
では妄想計算を始めます♫
30代もちらほら無症状者がいました。
ですので、少し多めにスクリーニングの時点では抜いておきましょう。
15名ほど先に抜きます。(15名/49名)
全体で49名抜いていましたので、そうありえない数字ではないかなと。
それでは計算していきます。
33−15=18
変異株の割合は56.5%ですので、
- 従来株 8名
- 変異株 10名
そしてどちらも肺炎になる割合は同じだったとすると、約53%ですから、
肺炎者数
- 従来株 4.24名
- 変異株 5.3名
そして結果の計算をする前に従来株にだけ人数を戻します。
最初15名を抜きましたが、そのまま15名を戻します。
そうしますと、
- 従来株 23名
- 変異株 10名
となり、肺炎者数の割合を計算すると、
4.34÷23=0.184
となり、約18%となります。
あれれ??
しかも20歳未満で抜いたのが20名、合わせても35名で49名(全体では52名)から見たらまだ余裕がありますね?
まとめ
少々(妄想)が過ぎましたが、これが私が後から従来株のほうに母数合わせに見せかけて49名足したことに違和感を覚えた理由です。
結果をパーセンテージで出すならわざわざ後から人数を足す必要が無いわけです。
(母数が少なすぎて信頼できない計算になるから足したのかもしれませんね)
いずれにしろ変異株の脅威度を計算するためには人数が足りません。
また肺炎とだけあり、肺炎の重症度は規定されていません。
ざっと和歌山県が発表のデータを見ても20歳未満で重症化している人は少ないです。(1日の感染者数が大きく増えたあたりから、発表資料に容態の項目がなくなっているので追跡できませんでした)
そして少なくとも4月5日の資料までは、20歳未満の陽性者は、【無症状・状態安定・退院】しかありませんでした。
重症化している患者はいませんでした。
とかく発表される数字にいちいち驚いて要られません。
計算の仕方によっては印象を大きく変えることができます。
ですので今回の「あとから片方にだけ人数をプラスして計算」というのはトリックの可能性も捨てきれないんです。
詳しいデータが手に入らなかったので、終始【仮定】の計算と、少々やり過ぎな(妄想)計算ですが、いじくり回せばあのグラフと同じような数字を出せることがわかりました。
だからと言って変異株が怖くない、対策なんか必要ないとは言いません。
これまで通りの感染対策を継続して、余計な病気をもらわないようにすることが大切です。
実際高齢者の肺炎率も高いのは事実ですので。
ただせめて生データはほしいなぁと思います。
もともと匿名の年齢と性別のデータなので、そこに変異株や肺炎発症のデータを付け足した表を公表してもプライバシー侵害にはならないと思うんですけどね。
とにかくまだまだ続くコロナ禍です。
今一度気持ちを引き締め、引き続き感染症対策を行っていきましょう!
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